無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10888日

 10888日と8が3つ揃った。これ自体なんの意味も無いが、ふと、「あと8888日」は無事迎えられるかなどと連想してしまったな。8と言えばむかしエイトマンという漫画があったのを思いだした。谷博士が作ったロボットで、警視庁8番目の刑事だった。弾よりも早く、たしかハイマンガンスチールでできていたな。主題歌を歌った歌手が後に殺人罪でつかまったのでびっくりしたことを覚えている。丸美屋8マンふりかけなんてものもあったくらいだから、相当人気漫画だったんだろうな。ふりかけの中に8マンシールが入っていたのでわしも集めた事があったよ。

 おふくろは新しいものや珍しいものに興味を持つタイプで、30年代から出始めた生活家電なども、割合早く買っていた。最初が東芝電気釜、ナショナルラジオ、NECテレビ、日立冷蔵庫、日立洗濯機、日立掃除機、なぜか日立が多かった。なかでも電気釜の効果は絶大だったな。おふくろが朝暗いうちから起きて薪を割って火を起こして、おくどさんで炊いていた飯が、スイッチ入れるだけで朝起きたらできているんだから驚いたよ。テレビもうれしかったね。うちのテレビで初めて見た番組は今でも覚えているよ。つんころ大助という30分ものの相撲のドラマだった。これが終わると次ぎに鉄人28号の実写版をやっていた。それまでは隣の家に見せてもらいに行っていたんだが、昔の人はみんないやがらずに、近所の大勢の子供を家にあげて見せてくれたよ。おおらかだったのかね。

 洗濯機といえば、わしは16歳の時、学校の寮にはいって、最初の1年間だけだが、洗濯板を使って手で洗濯した事がある。夏はいいんだが、冬は凍えてたまらんかったよ。洗濯機ができるまで世間の母親は年がら年中これをやっていたのかと思うと頭が下がったね。今ではそんなことも忘れてしまい、スイッチを押すだけの便利さに慣れてしまうと、それが当然になり、有り難みも感動も失ってしまうんだな。