無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10862日

 これはもう20年も前、インターネット黎明期で、大学や研究機関の個人名やメールアドレスを隠すこともなく、個人のページでオープンにしていた牧歌的な頃の話だ。ビックリするような有名人からでも、すぐに返信メールが届いた時代だ。その頃わしはアップルスクリプトメーリングリストに登録して、趣味でcgiの書き方を勉強していた。そこで知り合ったのがイニシアルがAPという北アイルランドに住むパブリックスクールの生徒だった。

 わしなんかは、北アイルランドといえばカトリックプロテスタントの争いで危険がいっぱいで、のんびりと高校生活など送っているはずはないと考えていたんだが、聞いてみると、あれは宗教の争いではないし、危険なんかは全く感じないということだった。日本のマスコミが報道しないだけで、争いの中身は宗教ではなく他にいろいろ理由があったみたいだな。詳しいことははわすれた。

 AP君は成績は優秀だったようだ。イギリスの受験制度についても教えてもらったぞ。イギリスでは共通試験をうけてその成績で大学が選べるみたいだったな。彼はケンブリッジ大学を希望して受かるだけの成績だったので安心していたらなんと落ちてしまったた。親も学校も大騒ぎになって、祖母がなぜ落ちたかをロンドンまで確認にいったそうだ。すると意外なことがわかったんだな。

 年齢的に受験資格がなかったということだったようだ。制度上まだ高校2年の年齢だったんだと。一年早く学校に行き過ぎたんだな。日本と違って就学年齢に無頓着なんだろう。しかし第二希望には入れてもらえたんだから、よくわからん制度ではある。そこらあたり、外国は結構いい加減なんだろうな。

 入学した大学のある都市で、父親がプレミアの下のリーグでマネージャーをやっていると言っていた。わしはサッカーのことはよくわからんので、プレミアがどうのこうのと言われてもさっぱりその価値がわからなかったんだが、北アイルランドナショナルチームにもいたと聞いてちょっと驚いたな。イニシャルがJP、わかる人はわかるだろう。本人は比較されるのが嫌だからサッカーはやらないと言っていたが、それは賢明だろう。日本でも長嶋親子の例もあるように、偉大な親を持つと子供も大変だろうな。わしは普通の親でよかったよ。

AP君も30歳代後半になっているはずだ。今日は思い出話だったな。