無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10767日

 今日の午後3時から4時の間に、ピアノ輸送の専門業者が来る事になっていたので、ピアノが出しやすいように朝から部屋の荷物の片付けをした。最初 ピアノを搬入した時も電線や、狭い通路や階段に阻まれて、なかなかうまくいかないで苦労したことを、業者にも伝えておいたんだが、一度も現場を見に来な かったので、大丈夫かなと実は心配していたんだな。わしは2時半位から何時来てもいいように準備をして待っていたんだが、来たのはいいかげん待ちくたびれた頃で、4時はちょっと過ぎていたかな。
 作業員は2人で、現場を見たあと、何とかなりそうだという力強いことばでほっとした。作業はテキ パキとしてさすがプロだと感心したな。2人で狭い戸口から抱えて出した後、1人がリモコンでクレーンを操作しながらフックを掛けると、電線ぎりぎりまでク レーンを立てて、ゆっくりと確実に一階駐車場の前まで降ろして、トラックに積み込んだ。正味30分程の作業だったが、熟練の技だったな。
  このピアノはおふくろが、わしの娘が嫁に行く時に必ず持たしてくれと言っていたもので、今朝、これを送ったらピアノの嫁入りも完了だ、などと女房と話して いたんだが、埃だらけのピアノを見て、女房はこれではいかんと、ピアノ掃除用のクリームの様なのを持って来てきれいに磨き始めた。わしはそこまでは考えな かったんだが、たしかにあの汚れたままで嫁にだすことは普通はしないわな。
 こうしてきれ いに磨かれたピアノは、専門業者に丁寧にトラックに積み込まれ、娘に遅れること4年半、娘の待つ新しい家に嫁ぐことができました。めでたしめでたしというところかな。あしたは朝から残ったものの片付けと、ピアノがなくなりガランとした部屋の掃除で忙しくなりそうだな。