無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10763日

 今日は昼から娘の家の引っ越しが始まった。12時過ぎに、わしの家から結婚前に娘が使っていたベッドや本(ほとんど漫画だが)を積んだのち、1時半頃から娘夫婦の家で荷物を積んだ。その後3時くらいから荷物降ろしが始まった。アート引越しセンターだったが、感じのいい若い衆が4人来て、てきぱきと仕事していたな。最近の若い奴はどうのこうのという年寄りの不満は、エジプトの時代から言われていたらしいが、わしは最近の若い奴はみんなしっかりしていると感心しているくらいだ。わしの前の職場に入って来る若い連中もみんなまじめでしっかりしていたな。

 引っ越しというのはわしらが学生の頃は好条件のバイトだったんだが、今はどうなんだろうね。ひょっとすると祝儀がもらえるかもしれんというのがあったからだが、もらえなかった時は、ほんとにがっかりしたからな。それでわしは自分の関係した引っ越しのときは、なるべく期待を裏切らないように、少し多めの祝儀を出すよう心がけている。

 昔、同じ寮に住んでいた学生で、サインはVで有名になった、女優の故 范文雀の家の引っ越しに行ったやつがいたんだな。もちろんバイトだからどこの家に行くなどという事は行ってみないとわからない。行ってみて范文雀でびっくりしたらしいが、仕事が終わってもっとびっくりしたのが、その祝儀の額だったそうだ。バイト代よりはるかに多かったと言っていたな。わしだけでなく周囲の誰もがうらやましがったが、その後、誰からもそういううまい話は聞かなかったから、范文雀は希有な例だったんだろうな。

 はんぶんじゃくが変換できないので検索して初めて知ったんだが、范文雀さんは2002年に54歳で亡くなっていたんだな。昭和23年生まれだからわしより3つ上になる。サインはVで顔を黒く塗ってジュンサンダースの役をやっていたのをよく覚えているが、早く亡くなったんだな。