無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10761日

 わしは2005年から1000円カットで散髪をしている。なんで覚えているかというと、2005年、おふくろが肺がんで療養していたときに、近くの美容院が1000円カットの店に変わり、ちょっと行ってみようかと思い付いて行ったのが最初だからだ。わしは中学生の頃から近所の散髪屋に行っていたんだが、髪なんか一週間もたてば伸びて来るし、わしの仕事柄、人と接することもないし、3500円もかけて奇麗にする必要性もなかった。要は短くなればそれでよかったということだな。

 どんなにトラ刈りになっても、1週間あれば目立たなくなるというのを知ったのは、船乗りになってからだったな。特に二隻目に乗った船はニューヨーク〜イランカーグ島航路だったが、中東戦争のあおりでスエズ運河が通れなかったので、アフリカの喜望峰周りだった。しかも船は燃料節約のため、減速運転しており、片道40日かかったんだな。髪も伸びてくるわけだ。船内に散髪屋がいるわけはないので、お互いが交代で刈るんだが、上手なわけは無いわな。わしと一緒に当直に入っていた操機手なんか、わしに角刈りにしてくれというんだから、こうなるともう遊びだな。1週間以上あるから大丈夫だというんで、わしもほんとに良いのかと何回も念をおしてから、見よう見まねで鋏で刈ったんだが、それはひどいトラ刈りだった。誰にやってもらったと、船内でも評判になっていたから、ひどかったんだろうが、1週間たつと奇麗に揃っていた。この時初めて、どんなにトラ刈りになっても、1週間あれば目立たなくなるという事実を実感したな。

 今日行った1000円カットは、理容師と美容師がいて、どちらにあたるか行ってみないとわからない。うまいこと理容師にあたるとビシビシ刈ってくれるんだが、美容師にあたるとなかなか短くしてくれないんだな。以前、理容師に当たったときに、そのことをそっと聞いてみたんだが、美容師はバリカンで短く刈り上げるのは苦手かなと話していた。わしが次回 1000円カットにいくのは12月頃だが、3500円から1000円に価格破壊して、それでも儲けがでるというのも不思議ではあるな。