無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10741日

 昭和40年頃に、国会図書館が、大東亜戦争を政治史資料として記録するために、指導者の声を録音するという事業を再開したところ、いろいろ自分から売り込んで来る戦争指導者がけっこういたらしいんだな。そんな中で、山本有三の推薦とかで売り込んで来たのが、あのインパール作戦牟田口廉也だったそうだ。このことは高木俊朗著「抗命ーインパール作戦烈師団長発狂す」に書かれてあるので間違いないだろう。

 資料として保存し、死後33年間開示されないというのをいいことにして、自分の都合のいいように歴史を誘導する行為だと、高木氏はこれを否定的にとらえているんだな。この本が出たのが昭和41年だから、この頃はまだ各地に戦友会があり、指導的立場にあった高官も存命しており、戦記ものの出版物は多くの人の目で厳しくチェックされた時代だったんだな。ところがだな。33年間も開示されないとなると好き放題できるわけだ。その頃には戦争体験者はほとんど死んでしまっているだろうから、誰もチェックできないので、それが史実として認定されてしまう可能性が高いと高木氏は危惧したんだな。

 それから50年たって、まさにその危惧が現実のものとなっているような気がするんだが、気のせいかな。所謂80歳の戦争体験者や、90歳の戦争体験者と最近よくマスコミに取り上げられて、戦争について話していることがあるが、誰もその内容をチェックする事はできないんだな。そもそもなぜ今頃になって出てくるのかしらんが、ほとんど忘れているだろうし、覚えていると思っている事も、大抵は戦後仕入れた知識によっているんだろうな。そこに政治的な意図があるか、或は完全に騙されているかどちらかだろう。言っては悪いが、そもそも今存命中の人は終戦時20前後で元兵卒がほとんどだろうから、点と線しか知らないはずだし、戦友会が盛んだった頃は元上官の前で、指揮がどうの、作戦がどうの、軍隊がどうの、などということは恥ずかしくて何も言えなかったと思うんだがな。

 この人等がいうように戦争はつまらんことだし、無いにこした事は無いというのは事実だが、世界を見ればどこかで毎日戦争が続いているのはどうしてなのか。イラクでは毎日多くの人が亡くなっているが、平和がいいと言っていれば、ナイジェリアやウガンダチベットのようなことは起きなかったのか。幾ら子供相手だといっても、どうせ体験者として語るなら、もう少し勉強して、ステレオタイプな軍隊批判、戦争批判ではなく、子供等が悲惨な体験をしないためには国家や国民はどのような行動をとるべきか、体験をもとにして、世界標準で話してほしいもんだな。