無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10700日

 とうとうあと10700日になってしまった。次700代がでてくるのがあと9700日になったときだから、2年7ヶ月くらい先になるのかな。生きてはいるだろうが、何をやっていることやら。少しは進歩しているといいんだが。まだ10000日以上あるので余裕があるように見えるが、桁が1つ少なくなると結構焦るんじゃないかな。

 今日は花子を予防接種に連れて行った。去年の年末に、それまで利用していた動物病院が閉院したので新しいところをいろいろ探した結果、今行っているT動物病院に行き着いた。決め手は獣医さんや病院の雰囲気もあるが、料金も大切な指標だったな。以前の病院では8種混合ワクチンを毎年うつようにいわれていた。1回が1万円弱かかり、2匹いるので2万円近くかかっていたんだが、今回の獣医さんは8種混合は3年に1回でいいということだった。その後の2年間は1種類だけうてばいいということで、その料金は1080円だと言われていた。今日は1種類だったので1080円払って帰ったんだが、なんか得をしたような気がしたな。

 うちが初めて犬を飼ったのは、わしが小学校5年生の時だった。母親は血統書付秋田犬だが、父親は雑種ということで、形はあまり良くなかったが、尻尾がくるっと回った、なかなか凛々しい犬だった。親父が仕事で知り合った農家からもらってくるというんで、その日はわしら兄弟は1日そわそわしていたな。午後になり、後ろに段ボールの小さな箱をくくりつけた、親父のバイクが帰ってきた。箱を開けてみると、茶色で目が青い、子供の両手にすっぽり収まるくらいの小さな犬が見上げていた。かわいそうに、バイクに酔ったんだろう、すき焼きの様な嘔吐物が散らばっていた。あとから聞いた話だと、子供とのお別れなので、親にすき焼きを食べさせたから、それを横から食べたんだろうということだった。箱から出して、玄関に降ろすと、ずっと我慢していたんだろうな、ものすごい量の小便をした。

 ぺすと名付けて、楽しい思いではたくさんあるが、たった5年で死んでしまった。其の時にはわしは家を出て、寮生活をしていたんだが、4月に別れて、5月の連休で1ヶ月ぶりに帰った時、ぺすはわしの足にしがみついて離さなかったな。それから夏休みで帰ったときは、一緒に近所の山に登ったりしてよく遊んだな。しかし、其の年の11月頃、家からの電話でぺすが死んだということを知った。朝起きたら冷たくなっていたらしい。当時家を建て替えのために、少し離れたところにぺすをつないでいたので、気が付くのが遅く、みとってやれなかった事を親父やおふくろも残念がっていた。その話を聞いてわしも涙がとまらなかったな。

 その時から、わしは生き物を飼うのはやめようと思っていたが、いろいろな理由があって、また、しかも2匹も飼ってしまった。今度は最後までみとってやろうと心に決めている。