無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10665日

1月11日

 本来なら今日は失業認定日なんだが、うっかりして旅行に来てしまった。しばらく失業保険がなくなるが、親孝行と思えばこれも仕方が無いのかな。

 9時半にスカイツリーから羽田へ。昼過ぎに羽田から河口湖へ向かったが、この高速バスが近頃めずらしい満席だった。若者の団体が乗ってくるので、聞いてみると、12日から3日間、富士急ハイランドのスケート場で、スピードスケートの国際ジュニア選手権出場者を決める国内予選が開かれるということらしい。ちょうどわしの横の席に座ったひとが、北海道から選手2名を引率してきた監督の先生だった。これは珍しい人と出会えたと思い、この先生には少し迷惑だったかもしれんが、この際だからスピードスケートやら、十勝周辺のことについていろいろ質問をして教えてもらった。おかげでバスを降りる頃にはわしも少し利口になったかな。

 わしは最近ではそうでもないが、若い頃は旅先等でよく人と話をしていた。電車やバスで横に座った人とかには、たいてい何か話しかけていた。わしには別にこれといって話題になるようなものないんだが、相手の話を聞くのが面白かったんだな。若い頃出張で金沢に行ったときなんか、神戸から大阪までの満員の通勤電車の中で、面倒くさがられるかなとは思ったが、横に座った年配の紳士に話しかけてみたことがあった。ところがその人がいい人で、話に乗って来てくれて、勤務先の三井銀行のことなどもいろいろ面白く話してくれているうちに、30分程があっという間過ぎてしまった。ひとはやはり本質的に誰かと話をしたいのかもしれんな。

 4時頃、全室から富士山が見えるといううたい文句の、「うぶや」というホテルに着いた。その文句どおり、部屋のでかい窓からほんとうに富士山が正面に見えて、一同感激したな。空は快晴で、明日は朝から河口湖に映る逆さ富士が見られるだろうと期待された。夕食も上品な薄味でうまかったな。関東の味の濃い料理は、わしらの口には合わんな。