無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10471日

 ここ2ヶ月ほど、強く噛むと右下の奥歯が痛むようになったので、今朝、近所の歯科医院に行って来た。レントゲンを撮って、結果を見ながらいろいろ説明してくれるんだが、ここのN先生は「う〜ん、虫歯でもないし、歯茎も異常なし、ヒビも入ってないし.............。」という感じで、独り言を言っているのか、患者に話しているのかよくわからんことがある。結局どこも異常がないので、治療しようがない、というのが結論なんだろうが、わしもせっかくやって来たんだから、多少なりとも痛みが軽減する処置をしてほしい。「先生、これは老化ということで、辛抱するするしかないんですかね?」と尋ねると、「う〜ん、そうだ、知覚過敏が押さえられる薬を塗っときましょう。多少は押さえられるかもしれないんで。」ということで、それを塗ってもらって、2120円支払って帰った。

 どこも異常なしと言われて、よかったのか悪かったのか、強く噛んだら痛いのは事実なんだから、虫歯になっているとか、親知らずがあるとか、どこか悪い所があって、これが原因だとわかったほうが、わしにとってはよっぽど有り難い。まあ、どこも悪くないのなら、老化と諦めて、だましだまし、付き合っていくしかないんだろう。

 このN歯科は、うちの長男が幼稚園年中の時に開業したから、もう20年以上になるが、歯科医師やスタッフの人柄が穏やかで、子供にも優しいので、かなりはやっている。このN先生は、このあたりでも有名な旧家の出で、大きな門構えの家は、わしらが子供の頃から知っていた。火事で一部が焼けたあと、その門を壊して、医院を新築したが、最初はその門の一部を改築して開業していた。金儲け主義でもなく、おおらかな、そのおっとりした風貌に、うちの両親も、さすが旧家の出は違うなと感心していた。

 しんどい夢を見ている時は、歯ぎしりをしていることが多いので、マウスピースをつけて寝たほうがいいと、以前N先生に言われて、作ったことがあった。今回の痛みも歯ぎしりが原因かもしれないので、続くようなら必要になるかも、と言われたが、以前、それをつけて寝た時に、気になって寝られないし、途中、何回も目が覚めて寝不足になったことがあった。これは無理だと伝えると、このN先生、歯ぎしりには自己暗示がきくことがあるといって、専門書のその部分をコピーしてくれた。本当に、歯ぎしりと自己暗示の研究をしている人がいるのかと驚いた。さっそく実践してみたが、さっぱり効果はなかった。そりゃちょっと論文を読んだ位で、寝ている時、自分の意識をコントロールする力を獲得できたら、何十年も座ったり、山の中を歩き回ったりして修行している人達は、一体何をやっているんだろう、ということになってしまう。