無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10461日

 本当に毎日いろいろなことがあるもんだが、昨晩は、女房の母親が「オレオレ詐欺」にひっかかりそうになった。話を聞くと、将に典型的なオレオレ詐 欺のパターンで、何でそんなものに騙されるのか不思議だ。それでも、その後で、女房にに電話をかけてきたということは、少しはおかしいと思ったんだろう。 わしのおふくろなんかは、完全に騙されて、通帳を持って銀行に行こうとしていたから、それに比べたら、まだましな方だと言えるのかな。

 概略はこうだ。「俺だけど、俺、”てつや”だけど。」という電話からはじまった。突然の電話で、”てつや”と言う名前に覚えはなかったが、甥や姪も多いの で、すぐに全員の名前が頭に浮かんで来るわけでもない。そのいわば記憶の谷間に、その”てつや”という名前がすーっと入ってきたんだろう。そして、義妹の Gさんが病気で寝ていたのを、以前から気にしていたので、「そういえば、あそこの子供に”てつや”というのがいたかもしれない。」と、瞬間的に思い込ん だ。そして「Gさんとこの、てつやかな?」と言ってしまった。

 母親も90が近いので、その後の話は要領を得ないんだが、なんでも、高校時 代の友達と昼頃にそちらの家に行くから、家にいてほしいということらしい。ただ、お金の話はしなかったということだ。これが本当なら、なんとも中途半端な オレオレ詐欺だが、ひょっとすると、家に来てからそれを切り出す、新手の詐欺か、或は居直り強盗かなどと、女房に言われて怖くなったんだろう、わしに用心 棒代わりに、家に来てくれと言い出した。まあ、行ってもたいした用心棒にはならんけどな。

 さて、わしは、今朝の10時30分から家に行っ て、どんな奴が現れるか、わくわくしながら前の道路を監視していたが、11時になり、12時になり、2時になっても一向に誰もやって来ない。しかし、よくよく考えてみたら、電話番号を電話帳にも載せてないし、相手にも話してないんだから、昼頃来るといっても、どうやってこの家まで来るんだろう、ということ に気が付いた。

 せっかくあそこまで、”てつや”の存在を信じ込ませたのに、一体何がしたかったのか、よくわからない。ひょっとすると、単なる間違い電話で、偶然話がかみ合っただけかもしれない。今回は、わしが3時間程退屈しただけで、他に被害はなかったが、あの電話で、困っているのでお金 を貸してほしい、という話になっていたら、どうなっていたことか。しかし、女房に言わせると、「あの人はお金にはしっかりしているから、やすやすと、お金を渡すような事は絶対しない、それどころか、あそこのGさんには300万貸して、返して貰ってないから、逆に300万返してくれと言ったと思う。」ということなので、この点に関しては、心配する必要はなさそうだ。