無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10351日

 東名高速で死亡事故があってから、危険運転で逮捕という事件が多くなった。煽り運転なんてものは別に最近始まったものでもなく、以前からあったんだが、検挙数が増えたということは警察が本腰を入れだしたということかな。それなら結構なことだ。ドライブレコーダーの普及で、警察も取り締まりがしやすくなったというのも、あるのかもしれんな。

 わしもアマゾンで、ユピテルDRY-ST3000Pというやつを、10980円で購入して自分で取り付けた。10月21日に注文して届いたのが11月8日だったから、相当品薄になっているようだ。画像はかなりきれいで、信号の色もナンバーも読めるので、性能的には十分だ。なんと今見たら12980円になっている。これで煽り運転を抑制する効果があれば、安い買い物だ。

 わしも若い頃に一度だけ、割り込んできた前の車を煽った経験がある。ドライバーは50歳くらいの小柄な人だったが、危ないよというくらいの軽い気持ちで、何回かクラクションを鳴らしてやったら、次の信号で止まった時に、その人が車から降りてこちらへやってきた。わしも車から降りて向かい合ったら、相手の身長がわしの肩までしかない。しかも20歳くらい年長だ。見上げながら、なんか用があるのかと噛みついてきた。

 向こうからやってくるという状況は想定外だった。確かに殴り飛ばすか、首でも絞めるか、蹴りでも一発入れたら吹っ飛ぶだろう。しかしそれをやったら傷害罪で、下手をしたら仕事も失うかもしれないと妙に冷静になった。車にいた当時3歳の長男は、喧嘩したらいかんと言うし、この時わしは進退窮まった感じがした。信号が変わったので、その人は言いたいことだけ言うと、なんか捨て台詞を残して去っていった。

 この人はわしを見て、こいつはDQNではないと判断して攻勢に出たとしたら、鋭い判断力の持ち主だし、小さな体でなかなか度胸もある人であった。わしはというと、大東亜戦争時の日本と同じで、終戦に至るグランドデザインを持ってなかった。やみくもに攻撃開始したが、思わぬ反撃になすすべがなかったというところだ。わしはこの時以来、考え方を改めた。

 相手に腹が立った時に、それを相手に知らせるべきかどうか、知らせるとしたら一体相手に何を求めているのか、謝罪か、じゃあ相手が非を認めない時どうする、そこでやめるか、暴力に訴えてでも認めさせるか。これは怒りを終息させるためのグランドデザインと言えるもので、ここまでやる意思がないのなら、初めから自分自身で解決して、人に対して怒りを向けないのがベストだということだろう。

 車を運転していると煽ってくる奴もいるし、強引な割り込み、車線変更等腹が立つことも多い。この地方では「伊予の早曲がり」なんていう、とんでもないものもある。わしは運転しながらブツブツと怒りの言葉を言うので女房は批判的だが、これは言ってみれば安全弁で、窓を開けて大声で言ったら、東名高速の事故のようになるが、車内でブツブツ言う分には誰にも害を与えない。同乗者は多少うるさいかもしれないが、これで怒りがコントロールできるなら、結構なことだ。

 わしも歳をとるにつれて、人に迷惑をかけることも多くなるだろうし、怒りの対象になることがあるかもしれないので、常にS(慎重)H(控えめ)運転を心がけている。