2022年6月7日から城山登山を始めて、昨日で328回になった。日没45分前に家を出て瀬戸内海に沈む夕日の写真を撮っている。最初の頃、何回か登っているうちに猫がたくさんいるのが気になった。山頂に行くには四つのルートがあり、そのうち二つのルートで多数の猫を確認している。
野犬と違って襲われることはないだろうし、向こうから近寄ってくることも無いのでそれほど気にはならないが、猫嫌いの人にとってはあまりいい気はしないだろう。私自身は猫は苦手なんだが、誰かが捨てていくにしても、その後どうやって生きているのかちょっと興味はあった。
全部の猫が良く肥えていて健康そうなので、ハンティングでもして食料を確保しているのかと思ったが、こんな町の中の小さな山に鼠のような小動物がたくさんいるわけもなし、観光客から貰うにしても観光ゾーン以外にいる猫はどうするんだろうなどと疑問に感じていた。
それからひと月ほどして、曇天のため写真撮影ができないので少し早めに登山をしたときにその疑問は解消した。大きな袋と1Lのペットボトルを抱えた2~3人の女性が「○○ちゃん◇◇ちゃん」と猫に呼びかけていた。そして寄って来た猫にキャットフードと水を与えていた。
それを見て、野良猫を勝手に餌付けするとどんどん繁殖して、城山が猫だらけになるような気がしてちょっと心配になった。なんと無責任なことをしているんだと思ったがこの時は黙って通り過ぎた。しかしその後この人たちと時々話をするようになって、私の認識が全く間違っていたことに気が付いた。
この人たちは単に餌を与えるだけでなく、去勢不妊手術や健康管理まで面倒見ているらしい。確かによくみると耳の先がカットされている猫がいる。これは不妊去勢手術済の印だ。一年365日欠かさず登山して猫たちに餌と水を与えているのだから、猫好きが高じてとはいえ大変な負担であることに変わりはない。
7月12日の土石流以後31日まで登山道通行止めで誰も登れなかった時も、管理のため登る市職員に頼んでいたらしい。頼まれた市職員もさぞや大変だっただろう。私も31日に解除されてすぐに登ってみた。10日に登った時、登山口から少し登ったところに捨てられていた子猫が気になっていた。
道端でないていた子猫の前には2つのお椀があったから、あのグループの誰かがキャットフードと水を与えていたことは間違いないが、お椀はすでに流されてそこにはなかった。あの時、空のお椀の前で訴えるようにないていた子猫はその後の大雨には耐えられなかったに違いない。捨てるのなら途中に捨てずにせめて頂上の観光ゾーンに捨てれば助かったかもしれないとか、あと20年若ければ家に連れて帰ったかもしれないなどと思ったがどうしようもない。誰かが連れて帰ってくれたと思いたい。