昔から鉄道会社は現金商売で、日銭が入るのでつぶれることはないなどと言われていた。昭和58年まで東京に住んでいたが、その当時も切符は行き先を確認して現金で購入していたので、財布にはいつも小銭がじゃらじゃらはいっていた。財布も膨らむし、小銭入れの部分だけがよく破れたりしたものだった。
船乗りをやっていた頃もそんな思い出がある。神戸や横浜に入港すると夜にはたいていのみにでるのだが、船乗りというものは船にいれば食と住は付いてくるので気楽に金を使える。ポケットに万札を束にして突っ込んで、何軒もはしごするうちに、店ごとに万札で払ってお釣りをもらうので、船に帰る頃にはポケットが小銭でいっぱいになっていたものだった。服も傷むし、小銭は無かったら困るが、多すぎても困りものだった。
そんな小銭を生活の中から駆逐しそうなのが最近の電子マネーやQRコード決済だ。とくに電子マネーは画面を開くことも無くスマホをタッチするだけでいいので便利だと思うが、日本では利用者が少ないらしい。QRコード決済に比べるとポイント還元率が悪いというのもあるのかもしれない。
この地方の独占企業である伊予鉄道も時代の流れに乗って、10月から市内電車で交通系ICカード決済が可能となったが、一駅乗っただけでも230円というバカ高い料金なので乗ることはなかった。しかしよく考えてみると、乗る乗らないの問題ではなく、新しいものには皆が不慣れなうちに早く慣れておいたほうがよくはないかと思うようになった。一年もたってから降りるときにとまどって、運転士さんに聞くのも間が抜けているだろう。
そこで今日初めてモバイルICOCAをインストール、1000円チャージ後、念のため小銭230円をポケットに入れて電車に乗ってみた。人が降りるところがよく見える場所に座って確認すると、タッチする画面が2か所あるではないか。2駅ほどで降りる人たちの行動を見ているうちにそのうちのひとつはもうすぐ廃止される予定の伊予鉄専用カードの読み取り機だとわかった。
その下に後付けしてある「後払い専用」と書いてあるのが交通系ICカード読み取り機のようだ。それにしても後払い専用とはなんだろう、交通系ICカードと書けばわかりやすいのに、などと思いながら眺めているた。スマホを持った人たちが次々とそこにかざして降りていくので間違いないだろう。
いよいよ降りる駅が来たので降車ボタンを押した。電車が停止した後、ちょっと緊張して運転士さんの前でスマホをかざした。しかしなんの音もしない。普通ピッとかプッとかなんか音がするだろうに。ちょっと焦ったが画面には残金790円と表示されているので、小銭なら230円、電子マネーなら210円ということで、これでいいのかと納得して電車を降りた。
たったこれだけのことだったが、これでこのスマホで交通系ICカードが使えることは確認できた。近いうちに東京方面に遊びに行く予定なので楽に乗り降りができるだろうと期待している。