無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10692日

 今日は片付け最終日で、夕方4時頃にはほぼ終了していた。最後に紙袋2つに入った書類をシュレッダーで処理するように頼まれた。仕事に行っていたときは、まとめて職場に持って行き、大型の業務用シュレッダーを使って短時間で細かく裁断できたんだが、仕事を辞めた今はそうもいかず、先月edionのポイントで買った家庭用のシュレッダーで少しずつやっている。

 一応確認しながらやっていると、珍しいものが次から次へと出てくる。仕事を始めて結婚して、家を建て、子供が出来てという30数年のサイクルが、領収書という形ですべて再現できてしまうんだな。今まで3回引っ越しをしたのに、捨てずによくもっていたなとあきれたな。結婚して最初に住んだアパートの家賃の領収書、あのバブルの頃、儲けさしてもらった、今はあるかどうか知らないが、中央自動車とか日本鍛工とかの株の取引書類、3人の子供を出産したときの病院の領収書、大きな借金をして家を建てたときの大工棟梁の領収書、家族がかかった病院の領収書、家族で旅行に行ったときのホテルの領収書、旅行会社の領収書、騙されて屋根につけたソーラーの契約書、置き薬の領収書、納税証明書、これに電気、ガス、水道、電話、NHK、その他諸々あって、嫌になるくらいの量だ。

 まだ、残っているんだが、シュレッダーが熱を持って止まったので今日はやめにした。この作業をずっとやっていると、例えでよく昔の事が走馬灯のようによみがえるというが、まさにそれだったな。走馬灯がぐるぐる回りっぱなしだった。ありがたいことに、結婚して33年、贅沢は出来なかったが、家族5人が大病をすることもなく、平凡ではあるが、明るく、楽しい人生をここまで歩む事ができた。その歴史がすべて詰め込まれた書類を裁断しながら、感謝とともに、これで過去には一区切りつけて、あと10692日、前を向いて行かんといかんな、と決意を改めることができた。なんか吹っ切れたな。