無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと8061日 夕日に染まる瀬戸内海

2日に一回チョコザップで運動をして、それ以外の日は城山に登って夕日の写真を撮るか、或いは天神山に登っていたが、天神山方面は頻繁にイノシシと出会うようになりしばらく休んでいる。せっかくダニ対策として長靴を購入したのに残念だが仕方がない。去年と一昨年は一度も出会ったことはなかったので、勝手に夜行性だと思って安心していたが昼も活動するようだ。

昨日2024/2/27で277回登った城山は賤ケ岳7本槍のひとり加藤嘉明が築城したもので重要文化財になっている。70年間当たり前の光景としてこの城を見上げてきたが、大人になって他の町を見るようになると、古い城をもった城下町としてのすばらしさに改めて気が付くようになった。

姫路城、和歌山城と並んで日本三大連立式平山城に選ばれている松山城は海抜120mの山頂にあって、そこから眺める瀬戸内海に沈む夕日の写真を撮っている。2022年6月7日から始まった写真撮影だが、2022年11月25日、86回目の登山の時に海を黄金色に、空を赤く染めてこの世の物とは思えない光景が出現したことが一度だけあった。その時の一枚をこのブログに使っている。その後、昨日までに191回登っているがその光景に出会ったことはない。

多島海と言えば松尾芭蕉も憧れた東北の松島が有名だ。私も10年ほど前に尋ねたことがあるが箱庭のような美しさがあった。しかし瀬戸内の多島海は松島とはスケールが違う。船でどこまで走っても周囲に島影が見える光景を外国人が見たら、海ではなく河だと感じるのではないだろうか。半世紀前にカルカッタへと遡ったインドのガンジス川下流とスケール的には変わらないような気がしている。

山頂でベンチに座ってそんなようなことを考えながら、猫の島で有名になった青島やその先にある九州国東半島、周防大島を赤く染めながら沈んでゆく夕日をぼんやりと眺めていると、城下町は大きく変わってしまったが、海も島も夕日も400年前に加藤嘉明が眺めたのと同じものを、今を生きる我々もゆったりと眺めていることができるということがほんとうに有難く思えてくる。

夕焼けは懐かしき色瀬戸の海