無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと9489日 レビューは素晴らしい

この間、朝掃除の合間にワイドショーを見ていたら、コメンテーターの発言に驚かされた。そのBさん曰く「コロナで外国では国民の権利を制限するような政策がとられていますが、唯一日本だけはこれができないんですよ。なぜかというと、日本は太平洋戦争中、国家総動員で国民の権利を侵害し、多大の損害を与えたんです。だから日本だけはそういうことができないようになっているんです。」

このようなことをしゃべっていた。戦争中は日本に限らず、どこの国も国家総動員で国民の権利を侵害したが、それでも日本以外の国には、コロナで実施された国家非常事態に関する規定が存在している。日本だけができないという説明にはなっていない。

おそらくこの人の頭の中には、日本人が一方的に凶暴性を発揮して、平和を愛する世界中の人々を相手に大暴れをしたというファンタジーが沸き上がっていたんだろうが、公共の電波を使用しているんだから、もう少し頭の中を整理して発言してほしいものだ。

さて、今年に入ってから全編を通して見た寅さんシリーズ49作だが、その中の21作に木の実ナナがでていた、「寅次郎わが道をゆく」というのがあった。作品的にはあまり話題にならないようだが、個人的にはこれは懐かしかった。

昭和55年頃から昭和57年に浅草国際劇場が幕を閉じるまで、20歳代から30歳にかけてSKDに通ったことがあった。SKDの東京踊りに、初めて男1人で入るにはかなりな勇気もいった。それでも思い切って見たレビューには本当に感動し、病みつきになってしまった。

一部とはいえ、まさか寅さんの映画であの国際劇場のレビューが見られるとは想像もしてなかった。アトミックガールズ、エイトピーチェス、藤川洋子、千羽ちどりなど、40年も前の世界に引き込まれてしまった。あの豪華な舞台はもう二度と見ることができない。残念なことだ。

そこで当時のパンフレットがあったことを思い出して、この2か月ほど、あちこち家の中を探し回った。そして昨日とうとう発見した。毎回買っていたわけではないので、全部は揃ってない。今から思えば、少々の金を惜しまずに全部買っておけばよかったと後悔している。

レビュー通いも最初は1人だったが、そのうちに職場に同好の士が現れて2人になり3人になり、遂には上司のMさんの耳に入って、ぜひ連れて行ってほしいと頼まれるようになった。Mさんは海軍経理学校出身で、終戦を戦艦長門で迎えたという経歴からか、興味はあったが、女性の踊りを一人で見に行くことには抵抗があったようだ。

私としては、Mさんが一緒に行くときは入場料を払ってくれたので大歓迎だった。

帰りに一杯飲んで「あの色気はたまらんな。」と大笑いしていた、普段とは違うMさんを見るのも楽しかった。あの当時50歳代後半だったから、さすがにもう亡くなられているかもしれない。

この映画の最初の部分に、日傘の女としてちらっと出ていた藤川洋子さんもきれいで、この部分だけ何回も見てしまった。着物を着て歩くだけで絵になるというのもすごいことだと思う。この21作だけはもう一度見てみたい。