無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10470日

 昨日の昼過ぎに、ヤクルトおばさんというのか、配達してる人が2人やって来て、ヤクルトの宣伝をして帰った。値段が高いので、間違っても配達を頼む事は無いが、時間はあるので、話だけはゆっくり聞かせてもらった。話も上手で、なかなか面白かったんだが、買う気もないのに、いろいろ質問までしてこられて、向こうも困ったんじゃないかな。年金暮らしの家に来ても、無理だと思うよ、とは言っておいたが、来週もまた来ますと言っていた。ほんとうに来るかどうか、それでも何回も来てもらうと、気の毒で、ひょっとしたら1月くらいとってあげようかと、思うようになるかもしれんな。

 この時、ヤクルトは、昔は瓶に入っていたのを、知っているかと聞くので、60年も前になるが、一時期わしはヤクルトを飲んでいたので、知っていると答えたら、非常に驚いていた。そこでわしが、「じゃあ、あなた等は、ヤクルトにクロレラが入ったのは、いつ頃か知っていますか?」と聞くと「えっ、ク ロ レ ラ?????」という感じで2人で顔を見合わせていた。だからどうだ、ということでもないが、実は、わしはその境目に、ヤクルトを飲んでいたんだな。で、来週から、クロレラ入りヤクルトに変る、というその週で、飲むのを止めた。わしがというより、親が止めようと言ったんだが、理由は簡単で、それによって値段が高くなったからだった。

 ここまで話すと、ヤクルトのプロとして、向こうも対抗して、何か言わなければと思ったんだろう。「ひょっとして、昔の瓶なんかは持ってないですよね?」と聞いて来た。さすがにそれは持ってない。「もしあれば、その瓶が、今幾らするか知っていますか?」う〜ん、ひょっとして、これはヤクルト検定か?......と一瞬身構えたが、これはわからない。幾らするのか聞いて驚いた。マニアの間では、なんと1本10万円で取引されることがあるらしい。それくらい数が少ないということだろう。2〜3本とっておいたらよかったな。

 わしは、小さい頃、体が弱かったので、ヤクルトでも飲んだら、少しは元気になるかもしれんと思ったんだろう、親がわしだけに飲ませてくれた。甘くておいしいので、兄貴も欲しがっていたが、元気な兄貴には回ってこなかった。元気者が損をするということも、たまにはあってもいいだろう。