無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10753日

 去年の10月15日に叔父の葬儀があったときに、叔母に、ここの一族はがんで死ななければ94歳まで生きるといわれて、わしも其の気になり、3月一杯で仕事を辞めて4月から死の準備にかかったわけだ。そして5月からこの「無駄に生きるとはどういうことか」というブログを始めたんだが、今日でわしの94歳の誕生日までは、あと10753日になってしまった。

 今日その叔父の一周忌法要があったので出席してきた。去年の葬儀の時にいた人達は欠ける事無く出席していたな。わしは今日は車で行ったので、ノンアルのビールを飲んでいたんだが、これもそんなに飲めるもんじゃないな。わしの親父は、ビールなんかなんぼ飲んでも腹が膨れるだけじゃと言うとったが、こんな感じだったにかもしれんな。誰も酒を飲まないので、話も盛り上がる事も無く、約1時間仕出し弁当を食べて流れ解散となった。去年の葬儀のときは電車で帰ったんだが、酔っぱらって1駅乗り越したから、今回は楽と言えば楽だったが、去年のような、わしの生き方を変えるような衝撃的な話は無かったな。

 親父はわしと違って酒は強かったので、幾ら飲んでも乱れた事はなかったな。ビールなんか水飲んどるのと変らんと言って、夏でも日本酒を燗して飲んでいた。それであるときわしは、暑い時に飲む生ビールほどうまいものは無いと思うんだが、なんで酒を飲むのかと聞いた事があるんだな。親父は笑いながら、「そりゃ夏の生ビールはうまいのは知っとるし、飲みたいのも事実じゃが、ビールは高いのでもったいない。じゃが、本当は暑いとき、燗酒はちよっとしんどいこともあるんよ。」と言っとったな。この町の飲屋街(昔は北京町と言っとった)にも、今は無いが「岸坊」という一年中生ビールを出す店がわしが小さい頃からあった。子供の頃、うちにもその岸坊のカレンダーがあったから、たまには生ビールを飲みに行っていたんだろうな。親父が亡くなる少し前に、今何が一番したいか聞いた事があるんだが、しばらく考えて、「若い時みたいに、友達と北京町を飲み歩きたいなあ。」と言っとった。その頃の友達はみんなとっくに死んでしまっているんだが、楽しかったんだろうな。