無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと10567日

 この間、長男の嫁と話していて、うちの子供等が小さい頃、花見に連れて行って、焼き肉をしたことがあったと言ったら、えらく驚いていた。嫁は福島の出身なんだが、向こうでは、花見でそんなことはしたことがないそうだ。焼き肉といっても河川敷にある広い公園で、他の人の邪魔にならない範囲でこじんまりやったので、驚くほどの事ではないと思うんだが、地方によって感じ方が違うんだろう。

 うちは5人家族で、わしの両親と同居していたから、どこかへ出かける時には、よく7人で移動していた。子供も大きくなり、セダンタイプの車には全員乗れないので、二男が生まれた時に、8人乗りのワゴン車に買い替えた。ワンボックスタイプの車が出始めた頃で、荷車の上にシートを置いたような、乗り心地の悪いものだったが、とにかく7人乗る事ができた。その頃わしが乗っていたのが1000ccのシャレードだったので、ダイハツの店舗に行った時、トヨタのワンボックスに買い替えることを話したら、うちにもありますよと言われた。

 その当時、町で一番見かけたのがタウンエースだったが、それと同じのがデルタという名前でダイハツで製造している、というよりもタウンエース自体、もともとダイハツトラックの上にシートを置いたものだそうだ。どちらも同じダイハツのラインで製造されていて、10台タウンエースにしたら、次の1台はデルタにするという感じで、名前だけ変えているということだった。しかし、その営業マン自身もデルタの実車は見た事がないと言っていたが、必ずトヨタよりは安くしますよというんで、カタログだけで決めてしまった。

 実車トヨタで見てくれと言われて、トヨタの店に行って、タウンエースの見積もりを出してもらった。翌日それをダイハツに持っていったら、それよりかなり値引きしてくれたので、契約する事にした。それから1週間ほどして、トヨタの営業マンが、うちに様子を聞きにきたので、ダイハツと契約したというと「えっ、ダ イ ハ ツ ですか。」と、たいそう驚いていた。自分は12年営業をやっているが、ダイハツあたりと競合したのは初めてだと、さも意外そうに話していた。わしが今度の車には10年は乗るから、当分車を買う事はないですよと話すと、その営業マン「わかりました。10年経ったらまた来ますから、よろしくお願いします。」と言って帰って行った。

 わしは、さすがトヨタの営業マンは違うなと感心して、もし10年経って、本当にあの営業マンがやって来たら、車を買い替えようと真剣に考えていた。しかしやってこなかった。もし来ていたら、それ以後、わしや、息子や義弟などが、6〜7台を購入しているが、それらはすべてその営業マンから購入していただろうな。