無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと8000日 大土岐山(おおときやま)登山

ゴールデンウィーク2日目の28日(日)に友人たちと四国山地にある大土岐山に行ってきた。このグループの登山に参加したのは一昨年の石鎚山、去年の小豆島に続いて三度目になる。今回はいつも車を出してくれる松岡君が行けないので、自力で集合地点の四国中央市まで行かなくてはならない。

四国中央市までは高速を走って1時間ちょっとかかる。朝6時半集合なので朝3時半には起きるつもりで前夜午後7時半頃に就寝した。若い頃ならこれで問題なかったのだが、歳を取ると寝ることも難しくなる。もう朝かと目が覚めて時計をみたらまだ9時半だった。2時間しか寝てないのかとがっかりした。それからはあまり寝たような記憶がない。

6時15分には脇君の子供服店の駐車場に4名全員が集合し、リーダー藤原君の車に乗り換えて出発した。登山口へ向かう道は想像していた以上のクネクネ道で、さらに最後の林道は未舗装でかなり揺れた。車高の高いSUVだったから4人乗って走れたのかもしれない。

そんなことを話しながら登山口で準備をしていると後ろで車の音がした。やって来たのは軽トラだった。降りてきたのは昭和21年生まれだという2人連れだ。100名山全部登ったという山のベテランの二人は、今朝私と同じ松山市から、一般道で寒風山トンネルを経由してここまでやってきたというから、かなり元気な人たちだった。さらにあの林道を走って来たのが軽トラだったことには驚いた。SUVなんかいらないという軽トラ最強説は本当だった。

大土岐山は標高1300M程とはいえ登山道が整備されてないので、有名な山や百名山の山なんかより危ないと脇君が話していたが、登り始めてその意味がよく分かった。濡れた苔がよく滑るので転倒したら岩で頭を打って一巻の終わりになりそうだ。バランスを崩すと川に落ちそうになるしルートも何回も間違えた。登山道をすたすた歩くのと違って、敏捷性、柔軟性、バランス感覚が衰えている老人には確かに危ない。

この急登を20分ほど登れば尾根に出るという地点で、最後尾を歩いていた矢野君がもう歩けないから先に行ってくれと言い出した。当日は気温が25度を超えてかなり暑かったから、おそらく熱中症だろうということですぐに休憩にした。タオルを川の水で濡らして、首筋やわきの下を冷やしながら30分くらい休んでいると、少し回復してきたと言うので直ちに下山することにした。

矢野君が早めに不調を訴えてくれたからよかったが、これが少し無理をして急登の途中で倒れたりしたらどうしようもなかった。ユーチューブで見ている山の遭難の動画でも、他の参加者に遠慮して不調を言い出せず、結局全員の足を引っ張ることになるという事例が紹介されている。山では無理は禁物で、山は登頂することよりも、全員無事下山することが大切だという、脇君の言葉に妙に納得した今回の登山だった。