人生一寸先は闇です。その闇はどんどん現実となって姿を現し、過去となっていくのですが、人が歩いた後には過去が山のように残されているはずです。
そして闇からぬけだし、最後の現実となるのが死の瞬間ではないかと思っています。もう先はありません。すべての過去がその瞬間現れて、消え去るのでしょう。
過去は死によって姿を現し、意味をもつものだとすれば、人の誕生は始まりではなく、死ぬことによってそれが意味を持つということなのかもしれません。
父の死の瞬間、一瞬でしたが、とても嬉しそうに眼を輝かせました。過去をすべて認め、納得した最後だったのではないかと思っています。