無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと8505日 Aaron Platt 君

 今回のワールドカップで日本がドイツスペインを破ったのには驚いた。ドイツやスペインと言えばまさに雲の上の存在で、これらのチームに勝てるようになろうとは、我々の世代では考えられなかったことだ。それどころか、ついこの間までワールドカップに出ることすらできなかったことを思えば、Jリーグ創設以来の選手強化の過程が正しかったといえるのかもしれない。

私自身はそれほどサッカーに興味があったわけでもなく、ワールドカップ限定のにわかファンに過ぎないが、今回のワールドカップを見ていて思い出したのが、30年近く前にメールをやり取りしていた、当時北アイルランドパブリックスクールに通っていたAaron Platt君のことだ。

 アップルスクリプトメーリングリストで知り合ったAaron君は優秀な高校生だった。お父さんは Jim Platt という元ナショナルチームのサッカー選手で、その時はすでに引退してプレミアの下のリーグでマネージャーをやっていた。Aaron君本人もサッカーはできたらしいが、親の名前が大きすぎてやめてしまったらしい。

当時それほど興味のなかった私にとっては、プレミアリーグと聞いてもナショナルチームと聞いてもピンとこなかったが、今になって調べてみると、北アイルランドナショナルチームゴールキーパーとして1982年と1986年のワールドカップに参加しているすごい選手だった。

メールではサッカーに関する話はほとんどしなかったが、一つだけ覚えているのが「父は、サッカー界で大きな金が動き始めていることを批判している。」というような内容のメールだった。それから約30年たった今回のカタールなんかの例は、まさにその行き着く先という感じがしないでもない。

お母さんがプジョーを買ったので、弟と二人で乗り回したことや、北アイルランドの平和な日常のこと、英国の大学受験事情、パブリックスクールの授業内容などのついて面白い話をたくさん教えてくれた。当時のメールはテキストのみだったので写真や動画のやり取りはできなかったのが残念だったが、その後Aaron君が大学に合格してイングランドへ向かうあたりで終わった。

今では40歳代後半くらいだろうか。家族をもって幸せに暮らしていることだろう。もし、Aaron君もカタールワールドカップでの日本チームの大活躍を見て、私のことを思い出していてくれたらこんなに嬉しいことはない。