無駄に生きるとはどういうことか

うちの一族はがんで死ななければ94まで生きると、叔父の葬儀の日に叔母にいわれた。聞いてみると確かにわしの親父他何人も94で死んでいる。そこでわしも94の誕生日に死ぬと決めて、それまでの日数をあと何日と逆算し、切りのいい64で仕事も辞め、死への準備にかかった。その日々をブログに書いている。

あと8745日 虫除けはフェイスガードで

今年の元旦から近所の山に登り始めて3か月が過ぎた。寒い間は良かったが、少し暖かくなってくると顔や耳の周りでブンブンと虫が飛び回るようになった。耳の周りや首のあたりに寄ってくる虫に対しては、帽子からタオルを垂らすこと防ぐことができたが、目や鼻の周りにやってくるのは手で追うか、団扇で扇いで吹き飛ばすくらいしか方法が無かった。しかし、それをすると片手がふさがってしまう。両手で杖を使っているのでこれは困る。

虫よけスプレーもいろいろ試してみた。しかしスプレーをしても虫は寄ってくる。帽子に虫除けシールを貼っているという人もいたので使い心地を聞いてみたが、どうやら虫を寄せ付けないという効果はないようだ。近所にいる百名山を2回登ったという90歳のKさんにも聞いてみたところ、「虫のテリトリーにこちらが勝手に入っていくんだから、それくらいはしょうがないよ。」と言われた。

そうは言っても、気持ちよく山登りがしたい。そこでふと思いついたのが、コロナ対策として今あちこちの医療機関で使われているフェイスガードだった。都合のいいことに、1枚100円くらいで売っている安物のフェイスガードを女房が持っていたので、試しにタオルとフェイスガードを付けてみた。息苦しくもないし、前が曇ることも無い。見た目がちょっと不気味だが、人と会うこともほとんど無いので外見を気にする必要もないだろう。ということで早速それを持って山に出かけた。

登山口で脚絆と地下足袋に履き替え、タオルとフェイスガードで防備を固めて山に入った。虫はすぐにやって来た。後ろから首や耳のあたりに飛んできてブンブンうるさいが、タオルが邪魔をして直接肌に当たることがないのでほとんど気にならない。フェイスガードの前にもハエや小さな虫がたくさん飛んでくるが、追わなくても中まで入ってくることは無い。両手で杖を持って快適にどんどん登っていける。休憩中にも寄せ付けない。防虫の効果は抜群だということはわかった。

「肉体的な強化が精神の老化を防ぐことができるか?」という疑問から始めた山登りだが、元旦に突然山に行くと言い出した時は、女房や子供等からは、やることが極端すぎてちょっとおかしいと言われたものだった。それを縁なき衆生は度し難しと笑い飛ばしていた関係上、今更虫を理由に山へ行く回数を減らすわけにもいかない。フェイスガードにおかげで、滞りなく山登りを続けられそうでほっとしている。