とうとう安倍総理が辞めてしまった。退任記者会見でも丁寧な対応をしていてその性格が表れていたが、質問する記者の底の浅さだけが浮かび上がるという、一風変わった会見だった。
そこで思いだされるのが昭和47年6月の佐藤栄作元総理の、総理大臣退任記者会見だ。「国民に直接話かけたいので新聞記者は出ていけ」とテレビカメラの前で言い放ったのには驚いた。言ったことも言ってもないことも、さんざん好き勝手に捏造されてきて、いい加減頭に来ていたんだろうか。
とすると、あれから48年たつが、今でもフェイクニュースを垂れ流す新聞記者は、何の進歩もしていないということになる。ただ国民の頭の中はだいぶ進歩しているので、今回の記者会見で安倍総理が、新聞記者は出ていけと言ったとしても、新聞記者はあの時以上に怒り狂うだろうが、国民はそれほど驚くことはなかっただろう。
ただ、佐藤元総理はテレビは無邪気に信用していたようだ。あの頃はまだ今よりまともだったのかもしれない。テレビも信用できないという今の混とんとした社会を知ったら、佐藤栄作さんもびっくりだろう。